swift-lang 処理系のインストールからFizzBuzzプログラムの実行まで
今話題の Swift 言語を触ってみました。Linuxで。
処理系のインストール
バイナリからのインストールは、Quickstart guideというテキストに非常に簡潔にまとまっています。
$ wget http://swift-lang.org/packages/swift-0.94.1.tar.gz $ tar xvf swift-0.94.1.tar.gz $ cd swift-0.94.1 $ export PATH=$PATH:$PWD/bin
バイナリからのインストール手順は、たったこれだけ。簡単!!! ソースコードからのビルドは、噂によると少し大変なようです。
Swift プログラムの実行には、Java の処理系が必要なようです。 手元の環境では元々インストールされていたため何もしてませんが、 必要に応じて適当に無料ダウンロードしてきたりしてください。
Hello, world!
まずはお約束、hello world の実行。 Quickstart guide に手順が書いてありますが、実行ファイルが置いてある場所が違うためそのままだとエラーになるので注意。
$ cd swift-0.94.1/examples/swift/tutorial $ swift hello.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2237-vkvmx0j2 Progress: time: 火, 10 6 2014 22:37:45 +0900 Final status: 火, 10 6 2014 22:37:45 +0900 Finished successfully:1
実行すると、 hello とも world とも言ってくれず、よく分からない出力が出てきますが、ご安心を。
"Hello, world!"
という文字列は、hello.txt
にちゃんと出力されています。
$ cat hello.txt Hello, world!
hello world を標準出力ではなくファイルにはき出す言語、TeXくらいだと思っていました。。。
FIzzBuzz を書いてみる
swift の tutorial を見ると、処理系ダウンロードの後にいきなりシミュレーションとか並列実行的なことをしていて、いささかハードルが高いように感じます。 swift 初の自作プログラムの題材としては FizzBuzz を書いてみようと思います。 作り方としては、hello world をベースに、user guide を読んで必要そうな構文要素をピックアップします。 大体以下のような要素が必要になると思います。
- プログラムの全体構成
- 標準出力へ文字を出す
- ループ構文
- 条件分岐
プログラムの全体構成
さて、まずは hello world のソースをじっと見つめます。
type messagefile; app (messagefile t) greeting() { echo "Hello, world!" stdout=@filename(t); } messagefile outfile <"hello.txt">; outfile = greeting();
swift はスクリプト言語ということで、先頭から順番に実行されていくのでしょう。
最後の方の outfile = greeting();
などを見ると、トップレベルに文が書けるようです。
上から順番に読んでいくと、いきなり型宣言をしているようなのが気になります。
type とはなんぞや。user guide を読んでみます。
In Swift, structures are defined using the type keyword (there is no struct keyword).
type キーワードで構造体が定義されるそうです。では、先頭の messagefile
というのは構造体名なのでしょうか。
たしかに、app
関数(?) では messagefile t
というような宣言をしているように見えます。これは messagefile
型の t
という変数があるということなのでしょうか。
なんだか、hello world をこれ以上読んでも理解が深まりそうにない気がしてきたので、とりあえずプログラムを書いてみましょう。
app () fizz() { echo "asdf"; } fizz();
さて、なんとなくこれで端末に asdf
と出力されてくれそうな気がします。
実行してみましょう。
$ swift fizzbuzz.swift Could not compile SwiftScript source: line 1:6: expecting an identifier, found ')'
コンパイルできないと叱られてしまいました。identifierが続いて欲しかったのに、')' が来てしまったと。
空の括弧を app
の後に書くのは恐らくだめなのでしょうね。
括弧を消してみました。これならどうでしょう。
$ cat fizzbuzz.swift app fizz() { echo "asdf"; } fizz();
$ swift fizzbuzz.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2254-0j82vqr6 Progress: time: 火, 10 6 2014 22:54:59 +0900 Final status: 火, 10 6 2014 22:54:59 +0900 Finished successfully:1
実行できました!!!
しかし、出力文字列は、、、どこ?
hello.swift
では echo
の後に stdout=@filename(t)
なんて指定しているので、この指定を省略すれば標準出力にはき出してくれるんじゃねーの?と思ったんですが、見込み違いだったようです。
標準出力へ文字を出す
毎回ファイルにはき出された文字を見るのはめんどくさいので、標準出力に文字を出したいのですが、なんとかならないものか。users guide を見てみましょう。
。。。簡単に調べてみましたが、見つかりませんでした。。。仕方ないので、強引に解決します。
type messagefile; app (messagefile t) fizz() { echo "asdf" stdout=@filename(t); } messagefile outfile <"/proc/self/fd/0">; outfile = fizz();
実行してみます。
$ swift fizzbuzz.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2300-5trv3m7d Progress: time: 火, 10 6 2014 23:00:41 +0900 asdf Final status: 火, 10 6 2014 23:00:41 +0900 Finished successfully:1
なんかもういきなり hack な感じがしてとてもアレですが、標準出力に何か出すという目的は達成できたので良いとします。
ループ構文
さて、FizzBuzz を作る上で、必要なのがループ構文。
100回 echo
を書いても良いのですが、さすがにそれは無駄だしめんどくさいです。
手続き型言語ならループ構文の一つや二つぐらいあるだろうし、気軽にできるでしょう。多分。
users guide を見てみましょう。Control Constructs なんて節がありますね。まさにコレだ。
ループには、 foreach
と iterate
というものがあるようです。 foreach
は配列 (または、コレクション全般?) の列挙に使うものでしょうし、コード例もそれっぽいです。
ここでは iterate
を使うのが適切でしょう。
iterate
のコード例を引用します。
iterate i { trace(i); // will print 0, 1, and 2 } until (i == 3);
do-while
みたいですね。上記は、 i
が until
の条件を満たすまでブロック内を実行するというコードです。
最後のi == 0
だと無限ループするのか、それとも一度もループが回らないのか、とても気になりますね。やってみましょう。
iterate i { trace(i); } until (i == 3);
そもそも、コードを app
のブロック (関数?) で囲む必要あったんだっけ?と疑問になったので、トップレベルでいきなりループを回すようにしてみました。
実行結果。
$ swift iterate.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2320-u9xc7f29 Progress: time: 火, 10 6 2014 23:20:21 +0900 SwiftScript trace: 0 SwiftScript trace: 1 SwiftScript trace: 2 Final status: 火, 10 6 2014 23:20:21 +0900
うまく動いているようです。 trace
という関数名を見たときに、これは端末に出力するときに変な工夫しなくても簡単に出す方法あったかも、、、と思ったのですが、表示は上記のように完全にデバッグ向けっぽいので、余計なものなしに出すにはやっぱりさっきの hack が必要だったみたいですね。
さて、肝心の、until
の中身を i == 0
にした場合についてやってみましょう。
iterate i { trace(i); } until (i == 0);
$ swift iterate.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2323-ag8rbbj0 Progress: time: 火, 10 6 2014 23:23:51 +0900 SwiftScript trace: 0 SwiftScript trace: 1 SwiftScript trace: 2 SwiftScript trace: 3 SwiftScript trace: 4 ...
無限ループです!!!これはますます do-while
感が高まりますね。
foreach
は分かるのですが、もう一つのループ構文として while
でも for
でもなく do-until
だけ採用しているというのもなかなか変わっている気がします。
users guide に書いていないだけかも知れませんが。。。
さて、これで FizzBuzz に必要な1から100まで数をループするというのはできそうですね。書いてみましょう。
type messagefile; app (messagefile t) fizz() { iterate i { echo i stdout=@filename(t); } until (i >= 99); } messagefile outfile <"/proc/self/fd/0">; outfile = fizz();
$ swift fizzbuzz.swift Could not compile SwiftScript source: line 4:3: expecting an identifier, found 'iterate'
まさかのコンパイルエラー!!!!これは困る。users guide をざっと見た感じ、appはなんか特殊なプロシージャのようです。 ループとか書けないのかも。ちょっとよく分からないので、完全な理解は後で users guide を読んだ後にするとして、ここではなんか回避策を考えます。 これでどうでしょうか。
$ cat fizzbuzz.swift type messagefile; app (messagefile t) fizz() { echo "aaaa" stdout=@filename(t); } messagefile outfile <"/proc/self/fd/0">; iterate i { outfile = fizz(); } until (i >= 99);
$ swift fizzbuzz.swift Could not start execution Compile error in procedure invocation at line 10 variable outfile is not writeable in this scope
コンパイルエラーは出なくなりましたが、実行時エラーが出ました。
このスコープでは outfile
変数は writeable
ではない、と。
Rust の lifetime とか &mut の aliasing に関するエラーメッセージみたいですね。。。
スコープが駄目と言われたので、こうしてみました。
type messagefile; app (messagefile t) fizz() { echo "aaaa" stdout=@filename(t); } iterate i { messagefile outfile <"/proc/self/fd/0">; outfile = fizz(); } until (i >= 99);
同じスコープで宣言した変数なら問題あるまい。
$ swift fizzbuzz.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2335-r16kd5ig Progress: time: 火, 10 6 2014 23:35:57 +0900 aaaa Duplicate mapping found: outfile (line 8) and outfile (line 8) are both used to write to file://localhost//proc/self/fd/0 aaaa Execution failed: Exception in echo: Arguments: [aaaa] Host: localhost Directory: fizzbuzz-20140610-2335-r16kd5ig/jobs/m/echo-mtf8gvrl Caused by: The cache already contains localhost:fizzbuzz-20140610-2335-r16kd5ig/shared/proc/self/fd/0. fizz, fizzbuzz.swift, line 9
うひー、なんかだめみたいです。同じ output
を複数回使う事はできないのでしょうか。うーん。。。よくわからん。。。
ちょっとここであまり悩むのもあれなので、標準出力について妥協します!!!!
iterate i { trace(i); } until (i >= 99);
ソースがかなり短くなりました。
$ swift fizzbuzz.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2338-zck3zvnd Progress: time: 火, 10 6 2014 23:38:03 +0900 SwiftScript trace: 0 SwiftScript trace: 1 SwiftScript trace: 2 SwiftScript trace: 3 SwiftScript trace: 4 SwiftScript trace: 5 SwiftScript trace: 6 ... SwiftScript trace: 96 SwiftScript trace: 97 SwiftScript trace: 98 Final status: 火, 10 6 2014 23:38:03 +0900
できた!!!けど、数字が98までしか出ていません。
iterate i { trace(i); int j = i; // will print 0, 1, 2, and 3 } until (j == 3);
上記のサンプルプログラムで 0, 1, 2, 3 が出るなら、99まではいける、と思ったのですが、だめでした。
よくよく見ると、 int j = i;
がとても重要なようです。users guide より引用します。
Variables declared inside the body of iterate can be used in the termination expression. However, their values will reflect the values calculated as part of the last invocation of the body, and may not reflect the incremented value of the iteration variable:
until
実行時点で i
にはインクリメントされた値が入っているけど、j
は body を抜ける時の i
の値が入っている、ということみたいです。
つまり実行順序が、
j
にi
を代入i
をインクリメントuntil
の条件を判定
となるようです。うーん。な、なるほど。。。
というわけでプログラムを直してみました。 よくよく考えると FizzBuzz は 1 から 100 までの数字を出さなければいけないので、それも直しました。
iterate i { trace(i + 1); } until (i == 100);
これで、1から100までが出力されました。
条件分岐
さて、ここまで来たらあと一息ですね!
if
の構文は C と同じようです。また、整数の剰余の演算子は %%
のようです。
ここまで分かれば、書けますね!!!
iterate i { int n = i + 1; if (n %% 3 == 0 && n %% 5 == 0) { trace("FizzBuzz"); } else if (n %% 3 == 0) { trace("Fizz"); } else if (n %% 5 == 0) { trace("Buzz"); } else { trace(n); } } until (i == 100);
$ swift fizzbuzz.swift Could not compile SwiftScript source: line 6:10: expecting '{', found 'if'
前言撤回。C の if
とは違い else
の {}
は省略できないようです。
iterate i { int n = i + 1; if (n %% 3 == 0 && n %% 5 == 0) { trace("FizzBuzz"); } else { if (n %% 3 == 0) { trace("Fizz"); } else { if (n %% 5 == 0) { trace("Buzz"); } else { trace(n); } } } } until (i == 100);
入れ子が深いですが、できました。実行します。
$ swift fizzbuzz.swift Swift 0.94.1 swift-r7114 cog-r3803 RunID: 20140610-2349-qkryujr6 Progress: time: 火, 10 6 2014 23:49:45 +0900 SwiftScript trace: 1 SwiftScript trace: 2 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 4 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 7 SwiftScript trace: 8 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: 11 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 13 SwiftScript trace: 14 SwiftScript trace: FizzBuzz SwiftScript trace: 16 SwiftScript trace: 17 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 19 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 22 SwiftScript trace: 23 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: 26 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 28 SwiftScript trace: 29 SwiftScript trace: FizzBuzz SwiftScript trace: 31 SwiftScript trace: 32 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 34 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 37 SwiftScript trace: 38 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: 41 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 43 SwiftScript trace: 44 SwiftScript trace: FizzBuzz SwiftScript trace: 46 SwiftScript trace: 47 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 49 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 52 SwiftScript trace: 53 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: 56 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 58 SwiftScript trace: 59 SwiftScript trace: FizzBuzz SwiftScript trace: 61 SwiftScript trace: 62 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 64 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 67 SwiftScript trace: 68 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: 71 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 73 SwiftScript trace: 74 SwiftScript trace: FizzBuzz SwiftScript trace: 76 SwiftScript trace: 77 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 79 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 82 SwiftScript trace: 83 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: 86 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 88 SwiftScript trace: 89 SwiftScript trace: FizzBuzz SwiftScript trace: 91 SwiftScript trace: 92 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 94 SwiftScript trace: Buzz SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: 97 SwiftScript trace: 98 SwiftScript trace: Fizz SwiftScript trace: Buzz Final status: 火, 10 6 2014 23:49:45 +0900
結果だけ見ると、普通の FizzBuzz プログラムですが、妙に遠回りしてしまった気がします。。。
まとめ
Swift の面白そうなところにはたどり着けませんでしたが、エラーメッセージ等から何か裏に潜んでいそうな気配を感じ、なかなか楽しめそうです。 ひとまず今回は体当たりしてみましたが、次はもう少し体系的に学んでからちゃんとしたプログラムを書きたいと思います。 あと、面白そうな言語を紹介してくれた Apple に感謝です。
無料ダウンロードできる言語処理系まとめ
言語は適当にチョイス。順番も適当。文言はパッと見で目立つものをピックアップ。 言語処理系にはランタイムとかコンパイルも含むゆるふわな分類です。
飽きた。
特定の major-mode "以外" の場合に hook を設定にする emacs lisp
やり始めたら 30 分くらいハマってたのでメモ。
以下コードは、 rust-mode
"以外" の場合に after-save-hook
に executable-make-buffer-file-executable-if-script-p
を設定するものです。
(defun after-change-major-mode-hook-fn () (unless (eq major-mode 'rust-mode) (add-hook 'after-save-hook 'executable-make-buffer-file-executable-if-script-p nil t))) (add-hook 'after-change-major-mode-hook 'after-change-major-mode-hook-fn)
解説
add-hook
は optional な第4引数にnil
以外を設定すると buffer-local な hook を設定可能after-change-major-mode-hook
は、バッファのメジャーモードが設定された後に呼び出される hook
上記の合わせ技で、特定メジャーモード以外の場合に hook を設定することを実現しています。
できなかったこと
上記にたどり着くまでに以下を試してみましたが、うまくいきませんでした。原因は分かっていません。
after-save-hook
に global (非 buffer-local) な hook を追加する。rust-mode-hook
でremove-hook
を buffer-local オプション付きで呼び出し、追加した hook を削除する。change-major-mode-hook
で buffer-local な hook を追加する。rust-mode-hook
の場合のみremove-hook
を呼び出し、追加した hook を削除する。
hook の動作原理を知らないと、このあたりはハマりどころとなって試行錯誤するハメになりそう。。。勉強せねば。。。
動機
Rust の attribute syntax が変更されたため、executable-make-buffer-file-executable-if-script-p
が、以下のような 「crate_id
が設定されているファイル」を 「shebang 付きの実行可能ファイル」と認識してしまうようになってしまいました。
#![crate_id = "foo"] #![crate_type = "bin"] fn main() {}
executable-make-buffer-file-executable-if-script-p
は、スクリプトファイルを作成する際の chmod
してパーミッション設定する手間を省いてくれる非常に便利な関数なのですが、rust のソースコードを保存する度に execute のパーミッションを設定されるのは非常に鬱陶しいかったため、rust-mode でだけ hook を削除したかった、というのが動機です。
最後に
Rust 0.10 が先日リリースされたので、みんなで使いましょう!!!
今回のリリースから、Mac/Linux 向けのバイナリや、公式の nightly-build が提供されるようになりました。もうLLVMのコンパイルを長時間待つ必要はありません!!! あなたと rustlang, 今すぐダウンロード。
rustpkg test でプロダクトコード中に書かれたユニットテストを実行する
以下のようなパッケージ foo
が存在したとします。
// src/foo/lib.rs #[crate_id = "foo"]; pub fn super_complex_function() -> uint { 42 } #[cfg(test)] mod test { #[test] fn test_super_complex_function() { assert_eq!(42, super::super_complex_function()); } }
上記に対し、適当な src/foo/test.rs
を作成して rustpkg test foo
を実行しても、 lib.rs
中のユニットテストは実行されません。
// src/foo/test.rs extern mod foo;
$ rustpkg test foo WARNING: The Rust package manager is experimental and may be unstable running 0 test test result: ok. 1 passed; 0 failed; 0 ignored; 0 measured
以下のように test.rs
のサブモジュールとして lib
を読み込むと、ユニットテストが走行するようになります。
// src/foo/test.rs mod lib; #[test] fn test() {}
$ rustpkg test foo WARNING: The Rust package manager is experimental and may be unstable /home/nksm/tmp/rustpkg/src/foo/lib.rs:1:1: 1:21 warning: crate-level attribute should be in the root module, #[warn(attribute_usage)] on by default /home/nksm/tmp/rustpkg/src/foo/lib.rs:1 #[crate_id = "foo"]; ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ running 1 test test lib::test::test_super_complex_function ... ok test result: ok. 1 passed; 0 failed; 0 ignored; 0 measured
警告が出るのが嫌な場合は、 lib.rs
はサブモジュールを読み込むだけの内容に留めておき、test.rs
からもサブモジュールを参照するだけにすれば良いと思います。
rustpkg
は、パッケージングのためのツールで、開発時にモジュール内部のユニットテストを実行させることは、本来の使い方からは外れているのだと思われます (筆者の勝手な想像ですが)。
ただ、開発時用にわざわざ別のビルド方法を準備するのもなんだか嫌な感じだったので、上記のように回避するのもありかなーと思いました。
Rust 基礎文法最速マスター (rust 0.7 編)
警告 (2014/1/25 追記)
以下の記事ですが、今となっては通用しない記述が多く含まれています。 0.7 から現在までに行われた大きな変更としては、思いつくだけでも
- 言語組み込み機能としての managed box が非推奨になった (将来削除され、ライブラリによる実装と置き換わる)
rusti
ツールが削除された
というものがあります。 おそらく、文中のコード例はコンパイルすら通らなくなっていることでしょう。 また、今後も 1.0 に向け大きな変更が予定されています (DST や GC の実装など)。
文中の、言語の基本的なコンセプトに関する部分はかろうじて現在でも通用すると思いますが、その他の部分についてはきちんとメンテナンスされている文章 (公式のドキュメントなど) を参照してください。
以下、オリジナルの記事です。
ブログ移転後の最初の記事っということで、最近僕がハマっているプログラミング言語、 Rust の文法的な特徴について、簡単に紹介しようと思います。 Rust という言語は非常に良いものだと思うので、是非とも流行って欲しいです!!!
前書き
まず、文法について説明する前に、簡単に Rust 言語の立ち位置や目指すところについて簡単に説明します。 また、Rust を実行する環境の構築方法および実行方法も簡単に説明しますので、本記事を読む際は、是非、環境を整えて、実際にコードを実行してみてください。
Rust とは?
Rust とは、プログラミング言語の名前です。Rust を日本語にすると、「さび」。命名の由来は分かりません。
Rust を開発したのは Graydon Hoare さん。当初は個人のプロジェクトでしたが、現在は Mozilla (Firefox/Thunderbird の開発元) のプロジェクトとなっており、GitHub で活発に開発が行われています。
Rust は、安全 (safe) で、並列 (concurrent) で、実用的 (practical) 、という 3 点をキーワードとして掲げています。 サポートするパラダイムは、「手続き型プログラミング」、「メッセージパッシング方式の並列プログラミング」、「オブジェクト指向プログラミング」、「関数型プログラミング」と一通り網羅しており、好みのスタイルでプログラミング可能です。
言語の主要なターゲットは「システムプログラミング領域」で、C/C++ 並のパフォーマンスと、安全性の両立を実現しようとしています。 具体的には、Rust を用いると、以下の2つの要件を満たしたプログラムを (比較的) 容易に作成することが可能になります。
- C/C++ のように、「ポインタを用いたメモリ操作」や、「GC に依存しないメモリ獲得・解放」など、明示的なメモリ管理が可能
- 自動でメモリ管理される言語のように、「ダングリング・ポインタ (dangling pointer, 不正な領域を指すポインタ)」や「null ポインタ」、「ダブルフリー」、「メモリリーク」 など実行時に発生しないことがコンパイル時に保証される
Rust の安全性に関しては、 Rust 開発者の一人である Tim Chevalier さんのプレゼンテーション資料 にまとまっています。 その他、Rust の言語仕様で特徴的な部分を以下に列挙します。
- C/C++ 風の構文
- ファーストクラスのオブジェクトとして扱える関数
- クロージャ
- 代数的データ型と、パターンマッチによる分岐
- ローカル変数の型推論
- 強い静的型付け
- ジェネリクス
- Haskell の型クラス風の trait を利用したオブジェクト指向プログラミング
- 並列タスクを考慮したメモリ管理体系 (タスクローカルなヒープとタスク間で共通なヒープの区別)
- コンパイラによる、変数・値の有効範囲の静的なチェック
Rust で作成された大規模なソフトウェアしては、 Rust のコンパイラ rustc
や、 Mozilla が実験的に開発中のブラウザ向けレンダリングエンジン Servo が存在します。
Rust のインストール
2013/07/07 時点での最新版は Rust 0.7 です。
公式サイトからソースをダウンロードしてコンパイルします。 Windows の場合はインストーラが用意されています。 また Homebrew や pacman や apt-get 等で、バイナリからのインストールもできると思います。
GitHub から最新ソースをダウンロードしてコンパイルする方法については、以下を参照してください。
Rust のプログラム実行
Rust プログラムを実行するためには、
- コンパイラ (
rustc
) を使う - REPL (
rusti
) を使う
という2つの方法があります。それぞれについて説明します。
rustc
の使い方
rustc
は、Rust のソースコードから実行バイナリを生成します。
実行バイナリを作成する場合は、ソースコード中に main
関数を含んでいる必要があります。
本記事中のコード例を実行する場合は、以下のファイルをテンプレートとして用いると良いでしょう。
// extern mod 文や use 文はここに書く fn main() { // ここにコード本体を書く }
コンパイルは以下のよう行います。 なお、 Rust のソースコードの拡張子は ".rs" が使われています。
$ rustc ./foo.rs # foo.rs をコンパイルする $ ./foo # コンパイルして生成されたバイナリ foo (windows なら foo.exe) を実行する
コンパイルと実行を同時に行ってくれるコマンド rust run
も存在します。
$ rust run ./foo.rs # foo.rs をコンパイルし、実行する
Unix 系システムの場合は、以下のようにソースコードの先頭に shebang を書いて、ファイルに実行属性 (x) を与えれば、 スクリプトのように実行することが可能です。
#!rust run fn main() { println("Hello, World"); }
$ chmod +x foo.rs $ ./foo.rs Hello, World
rusti
の使い方
rusti
は REPL (対話的実行環境) なので、事前にソースコードのファイルを用意する必要はありません。
以下の様に起動 & ソースコードの評価を行えます。
$ rusti WARNING: The Rust REPL is experimental and may be unstable. If you encounter problems, please use the compiler instead. Type :help for help. rusti> 1 + 2 # コードを入力 3 # 評価結果が出力される rusti> :exit # rusti を終了する
複数行にわたるソースコードを入力する場合は、:{
と :}
で囲みます。
rusti> :{ rusti| 1 + rusti| 2 + rusti| 3 + rusti| 4 rusti| :} 10
rusti
コマンド起動時のメッセージから分かるとおり、rusti
は実験的・不安定な機能なため、rustc
では正しく動作するはずのコードが動作しないなどの問題が発生する可能性があります。
本記事のサンプルコードについては rusti
でも動作確認を行っておりますが、何か問題が発生した場合は rustc
を使ってコードを実行してみることをオススメします。
注意事項
本記事中のソースコードは、2013/7/3 にリリースされた rust 0.7 で動作確認しています。
$ rust -v rust 0.7 host: x86_64-unknown-linux-gnu
rust は現在アルファ版のリリース過程にあり、言語仕様やライブラリへの破壊的変更が行われている真っ最中で、 本記事に書かれた内容が将来に渡って通用しない可能性があります。 (0.6 リリース以降は、1.0 のリリースまで、言語仕様への大きな変更は行わない方針のようではありますが。。。)
本記事についても今後のリリースに併せて随時改訂していく予定ですが、問題が発生した場合はコメント欄等でご指摘いただけると大変助かります。 また、筆者が把握している限りで今後仕様が変更されることが予想されるポイントについては、適宜注釈を入れておきます。
さて、前置きが長くなりました。次の節から rust の文法について説明します。
基礎
Rust のプログラムは、以下のような見た目をしています。
fn main() { let mut cond = false; loop { if cond { break; } cond = fun(); } }
if
の後の括弧の有無、キーワードの違い等はありますが、Rust は、中括弧 {}
を利用する、C 風の構文を採用しています。
コメント
コメントは、C 系列言語と同じです。
//
, /* */
の代わりに ///
, /** */
を利用すると、ドキュメントコメントとなります。
// 一行コメント /* 複数 行 コメント */
端末への出力
プログラムから標準出力に文字列を出力するには、print
関数か println
関数を利用します。
print
関数は指定された文字列をそのまま出力しますが、println
は末尾に改行を付与して出力します。
print("Hello World\n"); println("Hello World");
fmt!
構文拡張 (syntax extension) を利用することで、C の printf
のようなフォーマット付き出力が利用できます。
println(fmt!("%d + %d = %d", 1, 2, 1+2)); //=> 1 + 2 = 3
fmt!
で利用可能なフォーマット指定子は以下の通り。
println(fmt!("%d %i", 123, 456)); // %d, %i: 符号付き整数 => 123 456 println(fmt!("%u", 123)); // %u: 符号無し整数 => 123 println(fmt!("%s", "string")); // %s: 文字列 => string println(fmt!("%c", 'c')); // %c: 文字 => c println(fmt!("%b", true)); // %b: ブール型 => true println(fmt!("%x", 127)); // %x: 16進整数 (小文字) => 7f println(fmt!("%X", 127)); // %X: 16進整数 (大文字) => 7F println(fmt!("%o", 10)); // %o: 8進整数 => 12 println(fmt!("%f", 1.23)); // %f: 浮動小数 => 1.23 println(fmt!("%?", ("asd", 123, true))); // %?: 任意の型 (ここではタプル型) => ("asd", 123, true)
%10d
のように桁数を指定することも可能です。
指定可能な内容については、
fmt!
のテストセット
に網羅的に書かれています。
fmt!
は C の printf
とは異なり、フォーマット文字と引数の不整合 (引数の数の不一致や、型の不一致) をコンパイル時にチェックしてくれます。
素敵ですね!
fmt!("%d", "asdf"); // 型が不一致 (%d に対し、文字列)
<anon>:28:12: 28:18 error: mismatched types: expected `int` but found `&'static str` (expected int but found &'static str) <anon>:28 fmt!("%d" , "asdf"); ^~~~~~ note: in expansion of fmt! <anon>:28:0: 28:20 note: expansion site
fmt!("%d %d", 123); // 引数の数が不一致 (%d 2個に対し、引数1個)
<anon>:28:0: 28:20 error: not enough arguments to fmt! for the given format string <anon>:28 fmt!("%d %d" , 123); ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なお、紙面 (?) の都合で、上記エラーメッセージは普通色の文字として記載していますが、実際はカラフルな表示 (error は赤, warning は黄, note は緑) となります。
変数の宣言
ローカル変数の宣言
関数内部で利用するローカル変数は、let
で宣言します。
let foo: int = 123;
let
で定義した変数は immutable (変更不可) です。値を変更しようとすると、コンパイルエラーとなります。
let foo: int = 123; foo = 1;
<anon>:39:0: 39:3 error: re-assignment of immutable variable `foo` <anon>:39 foo = 1; ^~~ <anon>:33:4: 33:7 note: prior assignment occurs here <anon>:33 let foo: int = { ^~~
定義語に値を変更可能な変数を宣言するには、let mut
を利用してください。
let mut bar: bool = true; // mutable (変更可能) な変数を宣言 bar = false;
ローカル変数は型推論されるため、上記の例の型指定を省略することも可能です。
let foo = 123; let bar = true;
static
変数の宣言
let
は関数内部でのみ利用できます。複数の関数から利用可能な定数を宣言するには、static
を使います。
let
と違い、型推論はされません。
static foo: int = 123;
mutable な static
変数を定義することも可能です。
グローバルで mutable な変数の利用は 危険 なので、利用する場合は危険な操作を行うことを示す unsafe
ブロックで利用箇所を囲む必要があります。
static mut foo: int = 123; // 利用する場合は unsafe 宣言が必要 unsafe { foo = 1; } let bar = unsafe { foo }; // 以下はエラー foo = 1;
式とセミコロン
C と Rust の文法の大きな違いとして、C では「文」として扱われる構文の多くが、Rust では「式」として扱われることが挙げられます。 条件に応じて適切な値を変数に設定したい場合、C を学んだ人が普通に書くと、以下のような書き方になると思います。
let price; if weight > 100 { price = 10; } else if weight > 50 { price = 5; } else { price = 1; }
Rust の if
は「式」なので、以下のように書くことで price
の繰り返しを避けることが可能です。
let price = if weight > 100 { 10 } else if weight > 50 { 5 } else { 1 };
if
だけでなく、ブロックも式として扱われます。
ブロックの返す値は、ブロック内の最後の文の値です。
let foo = { let a = 1; let b = 2; a + b }; // foo == 3
最後の式にはセミコロンがついていないことに注意してください。
式の末尾にセミコロンを付けると、その式の値は無視され、()
という特別な値が返却されます。
let a = { 123 }; // a == 123 let b = { 123; }; // b == ()
基本的な型
bool 型
真を表す true
と、偽を表す false
の2つの値のみをとれる型です。
以下の演算が存在します。
true && false //=> false true || false //=> true !true //=> false
C などと同じく、&&
, ||
は短絡評価です。
数値
言語組み込みの数値型は「符号付き整数」、「符号なし整数」、「浮動小数」の3種類があります。 それぞれの種類について、サイズが異なる型がいくつか存在します。
- 符号付き整数
int
: マシンのレジスタサイズと同じサイズ (32bit OS なら 32bit, 64bit OS なら 64bit)i8
,i16
,i32
,i64
: 型名の数値と同じサイズ (i8 なら 8bit)
- 符号なし整数
uint
: マシンのレジスタサイズと同じサイズu8
,u16
,u32
,u64
: 型名の数値と同じサイズ
- 浮動小数
float
: f64 と同じ (0.7 時点。今後変更の可能性もある?)f32
,f64
: 型名の数値と同じサイズ
それぞれの数値型に対応したリテラルが存在します。
- 符号付き整数の場合
int
: 数値の末尾にi
をつける (例:12i
)i8
,i16
,i32
,i64
: 数値の末尾にiXX
をつける (例:12i8
,-12i32
)
- 符号なし整数の場合
uint
: 数値の末尾にi
をつける (例:12u
)u8
,u16
,u32
,u64
: 数値の末尾にuXX
をつける (例:12u8
,12u32
)
- 浮動小数
float
: 数値の末尾にf
をつける (例:1.2f
,1f
)f32
,f64
: 数値の末尾にfXX
をつける (例:1.2f32
,-1f64
)
i
, i32
, u64
等の型を表すサフィックスを省略した場合、当該リテラルの利用され方からどの型か自動的に推論されます。
let x: uint = 12; // x は uint 型の 12 let y: float = 1.2; // y は float 型の 1.2
整数のリテラルが浮動小数として解釈されたり、浮動小数のリテラルが整数として解釈されることはありません。
let x: float = 12; // エラー let y: uint = 1.2; // エラー
なお、ここで紹介した float
型は、将来無くなるかもしれません (Github の関連 Issue)
数値の演算
数値に関する演算です。
四則演算
1 + 2 //=> 3 1 - 2 //=> -1 1 * 2 //=> 2 1 / 2 //=> 0 5 % 2 //=> 1 -(5) //=> -5 1.0 + 2.5 //=> 3.5 1.0 - 2.5 //=> -1.5 1.0 * 2.5 //=> 2.5 1.0 / 2.5 //=> 0.4 -(5.0) //=> -5
比較演算子
1 >= 2 //=> false 1 > 2 //=> false 1 == 2 //=> false 1 != 2 //=> true 1 < 2 //=> true 1 <= 2 //=> true
ビット演算 (整数のみ)
3 << 2 //=> 12 16 >> 2 //=> 4 0xff & 0x01 //=> 1 (論理積) 0xff | 0x01 //=> 255 (論理和) 0xff ^ 0x01 //=> 254 (排他的論理和) !(-100) //=> 99 (ビット反転、C の ~)
代入演算子 (一部)
let mut a = 1; // a == 1 a += 3; // a == 4 a *= 2; // a == 8 a ^= 1; // a == 9
インクリメント演算子 ++
、デクリメント演算子 --
はありません。
+= 1
, -= 1
を使います。
異なる型との演算
2項演算子による演算は、同じ数値型同士の場合のみ行えます。異なる型同士の演算はエラーとなります。暗黙の型変換はありません。
1.2 + 1
<anon>:29:6: 29:7 error: mismatched types: expected `<VF0>` but found `<VI0>` (expected floating-point variable but found integral variable) <anon>:29 1.2 + 1; ^
サイズの違う整数型/浮動小数型同士の演算もエラーです。
1u32 + 1u64
<anon>:29:7: 29:11 error: mismatched types: expected `u32` but found `u64` (expected u32 but found u64) <anon>:29 1u32 + 1u64; ^~~~
異なる型同士の演算を行う場合は、as
を使って明示的にキャストしましょう。
let sum = 123.4; let count = 10; let avg = sum / (count as float); println(fmt!("%f", avg)); //=> 12.34
Rust のメモリモデル
Rust には4種類のポインタ型 ~T
, @T
, &T
, *T
があります。
Owned box (~T
)
Owned box は、ヒープ上に獲得された領域の事を指します。
Owned box は、 C++ の unique_ptr
のように、単一の変数のみが所有権を持ちます。
let x = ~5; // 5 をヒープ上に確保 let y = x; // y に所有権が移る // *y = 3; // y は immutable なので、変更不可能 let mut z = y; // z に所有権が移る *z = 3; // z は mutable なので、変更可能 // *y + 3; // y に格納されていた値は z に所有権が移っているため、y からはアクセスできない
Owned box として獲得された領域は、領域への参照が無くなった時点で解放されます。 この解放タイミングは、ソースコードから静的に解析可能で、ガベージコレクタは必要ありません。
Managed box (@T
)
Managed box は、ヒープ上に獲得された領域の事を指します。
Managed box は、C++ の shared_ptr
のように、複数の変数から同一の領域を指すことが可能です。
let x = @5; // 5 をヒープ上に確保 let y = x; // x と y は同じ領域を指す
Managed box として獲得された領域は、領域への参照が無くなった時点で解放されます。 この開放処理は、ガベージコレクタにより行われます。
Borrowed pointer (&T
)
Borrowed pointer は、C++ の参照型のようなもので、任意の値を参照するために用いることができます。 また、指し示した値が無効にならないことを、コンパイラが静的に保証します。
let ptr; // uint 型の borrowed pointer を宣言 { let x = 1; // ブロック内でのみ有効な変数 x の宣言 ptr = &x; // x を指す borrowed pointer を ptr に代入 } println(fmt!("%?", ptr)); // ブロックの外で x の値を参照
<anon>:35:19: 35:21 error: borrowed value does not live long enough <anon>:35 { let x = 1; ptr = &x; println(fmt!("%?" , ptr)); } ^~ <anon>:25:22: 1:0 note: borrowed pointer must be valid for the block at 25:22... <anon>:35:0: 35:51 note: ...but borrowed value is only valid for the block at 35:0 <anon>:35 { let x = 1; ptr = &x; println(fmt!("%?" , ptr)); } ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
上記プログラムは、ブロック内でのみ有効な変数 x
を、ブロックを抜けた時点で参照しようとしています。
Rust コンパイラは、このような不正なメモリアクセスを検知し、エラーとしてくれます。
ヒープの種類
Rust には exchange heap と、 local heap という2種類のヒープが用意されています。 exchange heap 上の値は複数のタスク (スレッドのようなもの) から同時にアクセス可能ですが、 local heap 上の値は単一タスクからしかアクセスできません (タスク毎に固有の local heap があります)。
owned box は exchange heap 上に獲得され、managed box は local heap 上に獲得されます。 すなわち、タスク間でデータをやりとりする場合は、必ず owned box にしなければなりません。 この仕様により、以下が実現できます。
- 複数のタスクが同時に同一のメモリ領域にアクセスしない (タスク毎のメモリ領域を完全に分離)
- タスク間でデータを受け渡す際に、データ全体をコピーしなくて良い (Owned box のポインタの値を渡すだけで良い)
文字列と配列
文字列・文字
Rust の文字列型は、どの領域に値を格納するかに応じて、&str
(スタック上に確保), ~str
(Exchange heap 上に確保), @str
(local heap 上に確保) の3種類があります。
それぞれの違いについては、後の節で説明します。
文字型は char
です。
let a = ~"string"; // ~str 型の文字列 let b = @"string"; // @str 型の文字列 let c = "string"; // &str 型の文字列 let d = 'c'; // 文字 (char 型)
エスケープシーケンスも使えます。
let new_line = "aaa\nbbb";
文字列の操作
各種文字列操作です
結合
"aaa" + "bbb" // => "aaabbb" ["aaa", "bbb", "ccc"].connect(",") // => "aaa,bbb,ccc" ["aaa", "bbb", "ccc"].concat() // => "aaabbbccc"
分割
文字列分割関数は、他の言語のように配列を返すのでは無く、イテレータを返します。 余計なメモリ獲得を極力避けるという、 Rust の効率性に対する意気込みが感じられます。
let mut iter = "aaa,bbb,ccc".split_iter(',') //=> イテレータ iter.collect::<~[&str]> //=> ~["aaa", "bbb", "ccc"] イテレータから配列を作成 let mut iter = "aaa<>bbb<>ccc".split_str_iter("<>") //=> イテレータ iter.collect::<~[&str]> //=> ~["aaa", "bbb", "ccc"] イテレータから配列を作成
長さ
"aaa".len() //=> 3 "日本語".len() //=> 9 (バイト数) "日本語".char_len() //=> 3 (文字数)
切り出し
"abcd".slice(0, 2) //=> "ab" "日本語".slice_chars(0, 2) //=> "日本"
検索
// 文字列の見つかった範囲のイテレータを返す "abcd efdh abcd".matches_index_iter("cd").collect::<~[(uint, uint)]>() //=> ~[(2, 4), (12, 14)] // 最初に見つかった文字の位置を返す "abcd abcd".find('b') //=> Some(2) "abcd abcd".find('x') //=> None // 最後に見つかった文字の位置を返す "abcd abcd".rfind('b') //=> Some(6) "abcd abcd".rfind('x') //=> None // 最初に見つかった文字列の位置を返す "abcd abcd".find_str("cd") //=> Some(2) "abcd abcd".find_str("xx") //=> None
配列 (Vector)
Rust の配列型は、可変長の配列と固定長の配列の2種類があります。
可変長の配列は、要素の型を T
とすると、&[T]
, ~[T]
, @[T]
の3種類に更に分類されます。
int
の配列は &[int]
や ~[int]
, @[int]
などと書きます。
固定長の配列は、 [T, .. N]
と書かれます。N
は要素数です。要素数3の int
の配列は [int, .. 3]
と書きます。
let a = ~[1, 2, 3]; // ~[int] 型 let b = @["a", "b", "c"]; // @[&str] 型 let c = &[1.0, 2.0, 3.0]; // &[float] 型 let d = [1, 2, 3]; // [int, .. 3] 型
配列に異なる型の要素を混ぜることはできません。 複数の型を混ぜたい場合は、後述のタプルを使います。
[1i32, 1.0f, "aaa"]
<anon>:29:7: 29:11 error: mismatched types: expected `i32` but found `float` (expected i32 but found float) <anon>:29 [1i32, 1.0f, "aaa"]; ^~~~ <anon>:29:13: 29:18 error: mismatched types: expected `i32` but found `&'static str` (expected i32 but found &'static str) <anon>:29 [1i32, 1.0f, "aaa"]; ^~~~~
配列の操作
各種配列操作です
配列の生成方法
use std::vec; // 要素数関数から生成 vec::from_fn(4, |i| i + 1) //=> ~[1, 2, 3, 4] // 要素数と要素から生成 vec::from_elem(4, "123") //=> ~["123", "123", "123", "123"]
配列の参照と代入
let mut v = ~[1, 2, 3]; let n = v[2]; // n == 3 (配列の添え字は 0 から始まる) v[0] = 3; // v == ~[3, 2, 3]
要素の個数
~[1, 2, 3].len() //=> 3
先頭の要素を取り出す
let mut v = ~[1, 2, 3]; v.shift(); //=> 1, v == ~[2, 3]
先頭に要素を追加
let mut v = ~[1, 2, 3]; v.unshift(4); // v == ~[4, 1, 2, 3]
末尾の要素を取り出す
let mut v = ~[1, 2, 3]; v.pop() //=> 3, v == ~[1, 2]
末尾に要素を追加
let mut v = ~[1, 2, 3]; v.push(4); // v == ~[1, 2, 3, 4]
配列の一部への参照 (slice) を得る
let v = ~[1, 2, 3, 4]; let s = v.slice(1, 3); // s == &[2, 3] s.len() //=> 2 let mut v = ~[1, 2, 3, 4]; let mut s = v.mut_slice(1, 3); // s == &mut [2, 3] s[0] = 5; //=> v == ~[1, 5, 3, 4]
マップ
他の言語ではハッシュや連想配列と呼ばれるものです。 Rust のマップ型は言語組み込みではなく、標準ライブラリで定義されているものです。
マップ
キーと値のペアです。型は HashMap<K, V>
です。
K
はキーの型、 V
は値の型です。
マップの生成
new
という名前の静的メソッドを呼び出します (静的メソッドについては、後で説明します)。
use std::hashmap::HashMap; let mut map = HashMap::new::<uint, ~str>(); // キーが uint, 値が ~str のマップ
値の設定
map.insert(0, ~"zero"); map.insert(1, ~"one");
値の参照
map.find(&0) //=> Some(&~"zero") map.find(&1) //=> Some(&~"one") map.find(&10) //=> None map.get(&0) //=> &~"zero" map.get(&10) // 異常終了
キーの存在確認
map.contains_key(&0) //=> true map.contains_key(&10) //=> true
キーの削除
map.remove(&0) //=> true (要素を存在する場合 true が返る) map.remove(&10) //=> false
制御構文
条件分岐
既に何度か登場していますが、条件分岐には if
文を用います。
cond
の部分には 真偽値 (bool
型の値) をもつ式を書きます。
C と違い、int
型等の数値を真偽値として利用することはできません。
また、C 等では if
の後に括弧 (
)
が必要ですが、Rust では不要です。
if cond { foo(); } if cond { foo(); } else { bar(); } if cond1 { foo(); } else if cond2 { bar(); } else { baz(); }
パターンマッチ
Rust の match
構文は、C の switch
文を拡張したものであると言えます。
C の switch
では、case
の後に定数しか書けませんが、Rust では「パターン」を書くことができ、
より一般的な条件分岐が可能です。
match number { 0 => println("zero"), // 0 の場合 1 | 2 => println("one or two"), // 1 または 2 の場合 ("|" は、いずれかにマッチすることを表す) 3..10 => println("three to ten"), // 3 以上10以下の場合 (".." は、範囲を表す) _ => println("something else") // 上記以外の場合 ("_" は、任意の値にマッチする) }
各 =>
の左側に書かれているものが「パターン」です。
match
構文では、渡された値 (上記の例では number
) が「パターン」に当てはまるかどうか順番にチェックしていき、
最初に当てはまったものに対応する式 (=>
の右側に書かれているもの) が実行されます。
C の switch
とは異なり、"fall through" ではありません。
=>
の後にはブロックを書くこともできます。
この場合、各式の末尾の ,
は省略することができます。
match number { 0 => { println("zero") } 1 | 2 => { println("one or two") } 3..10 => { println("three to ten") } _ => { println("something else") } }
パターンの網羅性
パターンは、すべての有り得る値を網羅するように書かなければなりません。
以下のように、一部の数値に対応するパターンが存在しない match
を書いた場合、コンパイルエラーとなります。
let n: uint = fun(); // n は uint 型 match n { 0 => "zero", 1 => "one" // 2 以上の値に対応するパターンなし }
<anon>:43:0: 43:35 error: non-exhaustive patterns <anon>:43 match n { 0 => "zero", 1 => "one" } ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この仕様により、特定の値に対する処理のみが漏れてしまうことを防ぐことができます。
条件付きパターンマッチ
パターンには、条件を付与することが可能です。
例えば、正の数、負の数、0でそれぞれ処理を変えたい場合、
以下のように int
の数値の範囲を明に書くことでも実現可能ですが、
let s = match n { 0 => "zero", 1..9223372036854775807 => "positive", _ => "negative" };
パターンの後に if
を使って条件を付与する方法で書いた方が直感的に分かりやすいと思います。
(この例だと、match
ではなく、素直に if
式を使って書いた方が良い気もしますが。)
let s = match n { 0 => "zero", _ if n > 0 => "positive", _ => "negative" };
このパターンマッチ機能ですが、後で説明する「複合型」と組み合わせることでその真価を発揮します。 詳しくは、「複合型」の項で説明します。
ループ
while
C の while
文と同等です。
let mut i = 100; while i > 0 { i -= 1; }
C の break
は break
, continue
は loop
です。
let mut i = 0; while i < 100 { i += 1; if f(i) == 0 { loop; } if g(i) > 0 { break; } }
loop
無限ループです。while true {}
と同じですが、専用の構文が用意されています。
let mut x = 5; loop { x += x - 3; if x % 5 == 0 { break; } println(fmt!("%d", x)); }
for
配列等の要素をイテレーションするものです。 将来的に意味 (構文) が変化しそうなので、ここでは見た目の紹介に留めておきます。
rust 0.6 の for
for
は、内部イテレータを呼び出すための構文です。
let v = ~[1, 2, 3]; for v.each |x| { // 内部イテレータ each() の呼出し println(fmt!("%d", *x)); }
rust 0.7 の for
for
自体は 0.6 の頃から変わっていませんが、ライブラリ側が内部イテレータから外部イテレータへと移行しているため、
for
を利用するためには内部イテレータへの変換が必要です。
let v = ~[1, 2, 3]; // iter() で作成した外部イテレータを、 advance() で内部イテレータに変換 for v.iter().advance |x| { println(fmt!("%d", *x)); }
(近い?)将来のバージョン
for
が外部イテレータをサポートするようになり、内部イテレータは廃止されます。
// 外部イテレータを直接呼出し。Iterable な型の場合、 iter() の呼出しを省略できる。 for ~[1,2,3] |x| { println(fmt!("%d", *x)); }
[2013/9/22 追記]
rust 0.8 以降の for
は以下の構文となっています。
for x in ~[1, 2, 3].iter() { println(fmt!("%d", *x)); }
新しい for
構文は、クロージャではなく単純なループのシンタックスシュガーなので、クロージャを意識させる以前の構文とは全く異なったものになっています。
なお、Iterable
な型については、0.8 時点ではサポートされず、明示的に iter()
を書いてイテレータを取得する必要があります。
複合型
タプル
配列と同じようにいくつかの値をまとめて一つの型として扱えるようにするものです。 配列と異なり、要素数は固定ですが、異なる型の値を一つのタプルに含むことができます。
let a = (1, "foo", true); // (int, &str, bool) 型 let b = (1, "bar", a); // (int, &str, (int, &str, bool)) 型
n0
, n1
などのメソッドで、n
番目の値を得ることができます。
let tuple = (123, "a", true); tuple.n0() // 123 tuple.n1() // "a" tuple.n2() // true
構造体 (struct)
C の構造体とほぼ同じです。
// Point 構造体の定義 struct Point { x: float, y: float } // Point 型の値を定義 let pt = Point { x: 1.0, y: 1.0 };
型引数をとる構造体を定義することも可能です。
見た目は C++ の template
と似ています。
struct Stack<T> { elements: ~[T] }
列挙型 (enum)
名前こそ C の enum
と同じですが、どちらかというと union
の方が近いです、
関数型言語に親しんでいる方には、「代数的データ型」と言えば、ピンと来ると思います。
列挙型は、複数種類の値をもつ型です。
例えば、以下の Shape
型は、 Circle
と Rectangle
という 2 種類の値をもちます。
enum Shape { Circle(Point, float), // 中心の座標 + 半径 Rectangle(Point, Point) // 左上の座標 + 右上の座標 };
Circle
と Rectangle
は同じ Shape
型の値なので、ひとつの配列に格納することができます。
let shapes = ~[Circle(pt, 1.0), Rectangle(pt1, pt2)]; // Circle と
もちろん、C の enum
のような使い方もできます。
enum Direction { North, East, South, West } enum Color { Red = 0xff0000, Green = 0x00ff00, Blue = 0x0000ff }
構造体と同様、型引数をとる列挙型を定義することもできます。
Rust のあらゆるところで使われている Option<T>
型 (Haskell の Maybe a
型のようなもの) は、
以下のように定義されています。
enum Option<T> { Some(T), None }
複合型とパターンマッチ
パターンマッチには、複合型を扱う上で非常に役に立つ 分割 (destructuring) 機能、および変数の束縛機能があります。
例えば、2 次元のタプルを座標と見なして、原点からの角度を取得する関数 angle
は、以下のように定義することができます。
fn angle(vector: (float, float)) -> float { use std::float::consts::pi; match vector { (0f, y) if y < 0f => 1.5 * pi, (0f, y) => 0.5 * pi, (x, y) => float::atan(y / x) } }
パターン中に登場する変数名 (上記では x
, y
) は、_
と同様、任意の値にマッチし、対応した値が束縛されます。
例えば、(x, y)
というパターンがあった場合、x
にはタプルの1番目の要素の値が、y
には2番目の要素の値が束縛されます。
また、値を 分割 して束縛する機能は、 let
で変数宣言する際にも利用可能です。
let (a, b) = (123, 456); // パターンマッチでタプル型の値から変数 a, b を生成 println(fmt!("a = %d, b = %d", a, b)); //=> a = 123, b = 456
構造体のパターンマッチ
構造体のパターンマッチは以下のように書けます。
struct Point { x: float, y: float }; fn print_point(point: Point) { match point { Point { x: 0f, y: yy } => { println(fmt!("%f", yy)); } Point { x: xx, y: yy } => { println(fmt!("%f %f", xx, yy)); } } }
構造体のフィールド名と同じ名前の変数に値を束縛する場合、以下のように変数名を省略して書くことが可能です。
fn print_point(point: Point) { match point { Point { x: 0f, y } => { println(fmt!("%f", y)); } Point { x, y } => { println(fmt!("%f %f", x, y)); } } }
列挙型のパターンマッチ
列挙型のパターンマッチは以下のように書けます。
struct Point { x: float, y: float } enum Shape { Circle(Point, float), Rectangle(Point, Point) } fn area(sh: Shape) -> float { use std::float::consts::pi; match sh { Circle(_, size) => pi * size * size, Rectangle(Point {x, y}, Point {x: x2, y: y2}) => (x2 - x) * (y2 - y) } }
関数
関数は fn
で定義します。2つの int
型引数をとり、戻り値として int
型の値を返す関数は以下のように書けます。
fn sum(a: int, b: int) -> int { return a + b; }
ブロックの最後の return
は省略可能なので、以下のようにも書けます (末尾のセミコロンが省略されていることに注意)。
fn sum(a: int, b: int) -> int { a + b }
Rust では return
を省略するスタイルが推奨されています。
また、戻り値が ()
の場合は、以下のように戻り値型の指定を省略することもできます。
fn void_function() -> () { return (); } fn void_function2() { }
引数として任意の型をとることのできる、ジェネリックな型は以下のように書くことができます。
fn fun<T, U>(a: T, b: U) { // 中身は省略 }
クロージャ
クロージャを使ったコードの例です。
let mut n = 1; let plus_n = |x| n + x; // クロージャ。x が引数 plus_n(3); //=> 4 n = 3; plus_n(3); //=> 6 // 型を明記する場合 let plus_n_2 = |x: int| -> int n + x; // 複数の文からなるクロージャ let plus_n_3 = |x| { println(fmt!("%d", x)); x + 3 };
do
記法
do
記法を用いる事で、Ruby のブロック構文のようなことが可能になります。
fn each(v: &[int], op: &fn(v: &int)) { let mut i = 0; while i < v.len() { op(&v[i]); i += 1; } } // 普通に呼び出す場合 each([1, 2, 3], |n| { println(fmt!("%d", *n)); }); // do 記法を用いる場合 do each([1, 2, 3]) |n| { println(fmt!("%d", *n)); }
trait
/ impl
Rust は、trait
と impl
という仕組みでオブジェクト指向を実現しています。
クラスベースやプロトタイプベースのオブジェクト指向よりも、Haskell の型クラスに近い考え方になっています。
// 表示可能であることを示す trait trait Print { fn print(&self); } // int 型に Print を実装 impl Print for int { fn print(&self) { println(fmt!("%d", *self)); } } // ~str 型に Print を実装 impl Print for ~str { fn print(&self) { println(*self); } }
以下のようにして使います。
123.print(); // int 型の print メソッドを呼び出す (~"123").print(); // ~str 型 の print メソッドを呼び出す
(~[1, 2, 3]).print(); // ~[int] 型は print を実装していない
<anon>:38:0: 38:21 error: type `~[<VI2>]` does not implement any method in scope named `print` <anon>:38 (~[1, 2, 3]).print(); ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
静的なメソッドを定義することも可能です。
self
引数がないメソッドは静的なメソッドとなります。
trait Shape { fn new(area: float) -> Self; } struct Circle { radius: float } struct Square { length: float } impl Shape for Circle { fn new(area: float) -> Circle { Circle { radius: sqrt(area / pi) } } } impl Shape for Square { fn new(area: float) -> Square { Square { length: sqrt(area) } } } let area = 42.5; let c: Circle = Shape::new(area); let s: Square = Shape::new(area);
参考文献・関連サイトまとめ
日本語文献は少ないです。。。
言語の背景や経緯の紹介
- Rust 公式サイト (英語)
- Rust - Wikipedia (日本語) ちょっと情報が古いですが、言語の概要が簡潔にまとまっています
- Rust - Mozilla の開発したシステムプログラミング言語 - に関するインタビュー - Graydon Hoare さんへのインタビュー
言語仕様について
- 公式のチュートリアル
- Rust 公式チュートリアルの非公式日本語訳 (rust 0.4 ベースなので、少し内容が古いです)
- Rust: A Friendly Introduction Rust の開発者 Tim Chevalier によるプレゼンテーション
- Rust for CXX programmers C++ プログラマ向けの紹介
デザインのテスト
見出しのデザインを考えるためのテスト記事です。
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